【第1部】治療だけでなく、一人ひとりの「幸せ」を考え続ける―在宅医療だからこそできること
やまと診療所 武蔵小杉院 院長
木村一貴 先生
神奈川県川崎市を中心に、約300名の患者さんを支えるやまと診療所武蔵小杉。在宅医療の現場では、病気だけではなく、その人の人生や家族、地域とのつながりまで見つめる医療が求められています。
今回お話を伺ったのは、循環器内科医として病院で経験を積み、現在は院長として診療所を率いる木村一貴先生。病院医療と在宅医療の違いや、診療所として大切にしている価値観、そして今後の展望について語っていただきました。
川崎市を中心に約300名の患者さんを支える
やまと診療所武蔵小杉では、川崎市中原区、高津区、幸区を中心に訪問診療を行っています。一部、川崎区や東京都大田区にも対応しており、約300名の患者さんを支えています。診療所には、循環器内科の木村先生をはじめ、放射線科や神経内科など、それぞれ異なる専門性を持つ医師が在籍しています。
「放射線科の先生は腫瘍に強く、神経内科の先生もいるので、非常にバランスの良いチームだと思っています」
患者さんの疾患としては、がんが約3割、神経難病が約1割。そのほか、心不全や高齢者の慢性疾患を抱える患者さんが多いといいます。
在宅医療の中で見つけた、自分自身の役割
木村先生は、もともと循環器内科医として病院で働いていました。病院では、「命を救い、自宅へ帰すこと」が大きな使命でした。しかし、在宅医療の世界に飛び込んだ当初は、自身の役割や仕事の意味について、深く考える時間があったと振り返ります。
「病気を治療することだけではなく、在宅医療には別の価値があるのではないかと、ずっと考えていました」
そんな中でたどり着いた答えが、「目の前の人の幸せを考えること」でした。
「この仕事は、目の前の人の幸せを考える仕事なんだと思った瞬間、すごく腑に落ちたんです」
その想いから、診療所では「人それぞれの幸せを考え続ける場所」というビジョンを掲げています。木村先生が考える「人」とは、患者さんやご家族だけではありません。
「地域の医療・介護従事者もそうですし、働くスタッフ、そして私たち自身も含めて、みんなの幸せを考え続けることが大切だと思っています」
さまざまな経験が、在宅医療の現在につながっている
木村先生は、医師として働く一方で、経営や組織運営について学ぶ機会も積極的に設けてきました。MBA取得も、その一つです。
「自分自身の視野や価値観、思考の幅を広げたいという思いがありました」
医療以外の分野で得た経験や学びは、巡り巡って現在の診療所運営につながっているといいます。
「いろいろな経験を積み重ねることが、今の法人運営の価値になっていると思います」

やまと診療所 武蔵小杉 院長 木村一貴
<経歴>
東京都出身。2007年東京医科大学卒業、2016年東京医科大学大学院卒業。 循環器専門医・高血圧専門医。
東京医科大学、戸田中央総合病院、東京医科大学茨城医療センター循環器内科での経験を得て、2019年より『やまと』に参画。2020年10月より現職。
医療法人社団やまと 医師特設サイト:https://project.yamatoclinic.org/

