人生に寄り添い続けてきた経験が、ケアマネジメントになる
今回は、居宅介護支援事業所ポピー、木村様に貴重なお話を伺いました。
テレワークを軸にした、無理のない事業所運営
居宅介護支援事業所ポピーは、現在2名体制で運営されている事業所です。日常の働き方はテレワークが中心で、毎日の電話連絡と、週1~2回ほど顔を合わせながら業務を行っています。
「2人しかいないので、同時に感染症にかかってしまうと仕事が止まってしまう」
そんな現実的なリスクを見据え、無理のない体制を選択してきました。必要なときに立ち寄り、顔を合わせ、丁寧に連携を取る。小規模だからこそ可能な、柔軟で持続可能な運営を大切にしています。
ケアマネ業務と認定調査、2つの軸で見える“人生”
事業の柱は、居宅介護支援事業所としてのケアマネジメント業務と、認定調査の2つです。ケアマネ業務は24時間気が抜けず、常に連絡が入る仕事。一方で認定調査は、その場で完結する側面を持つ仕事でもあります。
「認定調査は、人生の一番大切な場面を見せてもらっているようで面白いんです」
制度の枠組みだけでなく、その人の歩んできた時間や背景に触れることができる。ケアマネの視点で制度や支援のあり方を改めて見直す機会にもなり、自身の学びにもつながっていると語ります。
代表社員として、そして現場に立ち続けるケアマネジャー
木村様は代表社員として事業を担いながら、現在も現場に立つケアマネジャーです。管理者は伊藤様が務めており、それぞれの役割を明確にしながら事業所を運営しています。
木村様が現場に立ち続ける背景には、ご自身の人生で積み重ねてきた家族介護と看取りの経験があります。
家族介護の“本当の大変さ”を知っているからこそ
起床、食事、身支度、排泄。
一つひとつは日常の行為でも、介護が必要な状態では想像以上の負担になります。嫌がる本人を前に、つい声を荒げてしまい、家族関係がぎくしゃくしてしまうことも少なくありません。木村様が特に強く語るのは、こうした家族介護の現実です。
かつて、車椅子でのトイレ介助を一日に20回以上行っていた経験があります。「行きたい」と訴える本人の気持ちを尊重したい。けれど、そのたびに車椅子へ移乗し、付き添い、戻す作業を繰り返す中で、身体的にも精神的にも限界が近づいていく感覚を何度も味わいました。
本音では、「もうベッドでいいじゃないか」と言いたくなる瞬間もあった。それでも、尊厳を守りたいという思いが、その言葉を飲み込ませたといいます。大切にしたい気持ちと、続けられない現実の間で揺れ続ける日々。それこそが、家族介護の本当の姿だと木村様は語ります。
デイサービスについても、行けば元気になる一方で、「朝、出すまでが本当に大変」
だからこそ、「もう行かなくていいよ」と言いたくなる家族の気持ちがよく分かると話します。
サービスを“入れない”という判断も支援のひとつ
木村様は、サービスを増やすことが必ずしも正解だとは考えていません。
家族関係が悪くなってしまうのであれば、あえて回数を減らすこともある。
「やってあげたい気持ちはある。でも、それで家族が壊れてしまったら意味がない」その家庭ごとの状況や関係性を見極め、無理のない形を一緒に考えること。制度を使うこと以上に、関係を守ることを大切にしています。
終末期・看取りへの想い ― 自然のままに ―
看護終末期や看取りについて、木村様の考えは一貫しています。
「基本は、自然のままに」
在宅で看取れるかどうかは、家族の覚悟次第。点滴に対して過度な期待を持つ方も多い中で、メリット・デメリットを正しく伝え、本人がどう生きたいかを尊重することが重要だと考えています。
「死」を伝えていくという役割
また、子どもたちへの教育の大切さにも触れました。
人は必ず死ぬということ。元気な時だけでなく、最期の時間も人生の一部であるということ。
「絵本のような、やさしい形で伝えていくことが必要な時代だと思います」
大人だけでなく、次の世代へとつないでいく視点も大切にされています。
最後の職場として、悔いのない仕事を
今後について伺うと、木村様は静かにこう語ります。
「あと仕事ができるのは数年。だから悔いのないようにやりたい」
右肩上がりの経営よりも、自分たちが納得できる仕事を続けること。ここは“最後の職場”として選んだ場所です。
「私と伊藤だからこそできる寄り添い方がある」年齢と経験を重ねてきたからこそできる支援を、これからも丁寧に、静かに、続けていきます。




















