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【第1部】患者さんの「大切にしていること」を地域へ伝える

Interview

「患者さんの思い」を地域へつなぐ ~がん専門病院と地域医療機関が考える、これからの地域連携~

がん研有明病院
トータルケアセンター センター長 片岡 明美先生
トータルケアセンター 看護師 坂口 日登美様
トータルケアセンター ソーシャルワーカー 小田桐 萌様

地域連携において、医療機関同士が患者さんの情報を共有することは欠かせません。

一方で、診療情報提供書などの書類だけでは伝わりにくい、患者さん本人やご家族の思いもあります。

今回の取材では、がん専門病院で地域連携に携わる皆さまに、地域の医療機関との連携で大切にしていることや、訪問診療を担う医療機関をはじめ、地域医療の関係者に期待することについてお話を伺いました。

患者さんの「大切にしていること」を地域へ伝える

地域の医療機関との連携で大切にしていることについて伺うと、まず挙げられたのが、患者さん本人の思いやご家族の思いをつないでいくことでした。

診療情報提供書には、医学的な情報は記載されていても、患者さんが何を大切にしているのか、ご家族がどのような思いを持っているのかまでは、十分に記載されていないこともあります。そのため、実際に患者さんと話をして、そうした思いをできるだけ把握し、地域の医療機関へ伝えることを大切にしているといいます。

患者さんによっては、何度かお会いし、時間をかけて話をすることができる一方で、例えば病状が進行した患者さんなど、1回しかお話できない患者さんもいます。そうした場合でも、「短い1回の面談の中でも、患者さんが大切にしていることについて伺えた内容についてはお電話で相談させてもらうときに、連携先に伝えるようにしています」と話されました。

1回の面談で、患者さんのすべてを知ることは簡単ではありません。だからこそ、限られた時間の中で、患者さんが大切にしていることを少しでも把握し、連携先の医療機関へつないでいくことが重要になります。

1回1回の面談を大切にしながら、最初から全力で患者さんを知る

例えば終末期の患者さんの場合など、病状によっては継続的な面談が難しく、負担を考慮して面談が1回のみとなることもあります。そのため、最初に患者さんと会った段階から、できる限り多くの情報を聞き取ることを意識しているといいます。

「1回1回の面談を大切にしながら、最初にお会いした時から、全力でその患者さんのことを知り、理解したいという思いで関わっています。」患者さん本人だけではありません。付き添いで来られたご家族がいれば、ご家族からも話を聞く。一つひとつの時間を大切にしながら、患者さんについて知ることを心がけています。

また、初診時の面談だけではなく、初診の予約を受ける電話の段階から、できるだけ患者さんに関する情報を聞くようにしているとのことでした。

患者さんと直接会う前から情報を集め、関わるスタッフが患者さんを知る。そうした積み重ねも、地域連携につながっています。

患者さんの「その人らしさ」も、地域へつないでいく

医療機関同士で共有する情報は、病名や治療歴などの医学的情報だけではありません。患者さんがどのような生活を送り、何を大切にし、どのようなことを希望しているのか。そうした患者さん一人ひとりの価値観や、その人らしさを知ることも、地域で支えていくうえで大切な情報になります。

患者さんの思いを知ることは、その後の治療や療養の方向性を考えるうえでも重要です。だからこそ、がん専門病院で得られた患者さんの思いを、次に関わる地域の医療機関へ丁寧につないでいく。それもまた、地域連携の大切な役割です。


「『まるごと』と『まるごと』の連携の実現で、患者さんやご家族を切れ目なく支えることができます。」という言葉がありました。

がん専門病院が患者さんとご家族を支える。
地域の医療機関も、患者さんとご家族を支える。
そして、患者さん自身も自分の思いや希望を伝えながら、その人らしい医療や療養のあり方を一緒に考えていく。

それぞれが「まるごと」支えることができれば、その二つがつながったとき、より大きな支援につながっていきます。

地域の中で、最後までつないでいく

今回の取材を通して見えてきたのは、地域連携が単なる「患者さんの紹介・受け入れ」ではないということでした。

患者さんの思いを聞き、それを次の医療者へつなぐ。
がん専門病院でしかできないことを担い、地域でできることは地域へつなぐ。
そして、患者さん本人だけではなく、ご家族や子どもたち、その後の生活まで考える。さらに、患者さん自身が「どう生きたいか」「何を大切にしたいか」を伝え、医療者とともに考える。

それぞれの医療機関が、患者さんを「まるごと」捉え、それぞれの場所でできることを担う。そして、その「まるごと」と「まるごと」をつないでいく。

訪問診療側からも、患者さんと関わることができる時間を大切にし、スピーディーでありながら丁寧な対応を心がけていきたいという思いが語られました。

患者さんの「その人らしく生きたい」という思いを、医療機関から医療機関へ、そして地域へつないでいく。

それは、患者さん本人だけではなく、その人を取り巻く家族や子どもたち、そして地域全体を支えていく、これからの地域連携の一つの形なのではないでしょうか。

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