【第4部】医療従事者が健康であってこそ、良い医療ができる
「健康の三種の神器」は、医療従事者にも当てはまる
-最後に、「しろひげコンシェルジュ」をご覧になる医療従事者の皆さんへ、メッセージをお願いします。
基本的なことですが、健康の三種の神器である睡眠・食事・運動は、すべてに当てはまると思います。そして、医療従事者が健康でなければ、ミスは起こると思います。
医療事故をなくすためにどれだけ努力しても、完全になくすことは難しい。
その理由の一つは、リスク管理の中に「医療従事者の健康」という視点が十分に入っていないことではないでしょうか。だからこそ、医療従事者が健康であってこそ、初めてマニュアルが生きるのだと思います。
「マニュアルからの脱皮」が必要
最近、私がよく言っているのが、「マニュアルからの脱皮」です。マニュアルだけでは、人は動きません。人が行う以上、事故は起こり得ます。だからこそ、医療従事者が基本に立ち返り、健康でいられることが重要です。
自分が健康であれば、病気の人の状態も本当に理解できる。反対に、自分自身が健康でなければ、病気の人が病気に見えなくなることもある。健康な人も健康に見えなくなり、判断に誤りが生じる可能性があります。
だからこそ、もう一度基本に立ち返り、自分自身の健康を見つめ直すことが重要なのだと思います。
自分自身に余裕があることが、良い医療につながる
自律神経というのは、周囲にも影響を与えます。医療者自身が元気でなければ、その状態が患者さんにも伝わることがあります。
医師だけではありません。看護師も、介護士も同じです。良い医療を実践しようと思えば、医療従事者自身が健康であることが前提になります。自分自身に余裕がなければ、患者さんに向き合う余裕も生まれません。
だからこそ、自分自身の健康を維持し、余裕をつくることが重要なのだと思います。
基本に立ち返ることが、より良い医療につながる
今回のインタビューでは、自律神経の基本的な考え方から、生活習慣、ストレス、睡眠、パフォーマンス、診療の現状、そして医療従事者自身の健康まで、幅広いお話を伺いました。
小林教授が一貫して示されたのは、特別な方法ではなく、「睡眠・食事・運動」という基本を整えることの重要性です。自律神経を整えることは、単に身体の状態を整えるだけではありません。仕事のパフォーマンスや判断力、そして患者さんとの向き合い方にも関わってきます。特に医療の現場では、知識や技術、マニュアルだけでは十分ではありません。
それらを適切に活かすためにも、まず医療従事者自身が健康であり、心身に余裕を持っていることが重要です。
「自分が元気でなければ、良い医療はできない」
小林教授の言葉は、医療従事者自身の健康を改めて考えるきっかけとなる、非常にシンプルで本質的なメッセージでした。

順天堂大学医学部附属 順天堂医院
総合診療科・病院管理学 特任教授
小林弘幸 先生
<経歴>
1987年、順天堂大学医学部卒業。1992年、順天堂大学大学院医学研究科修了、医学博士取得。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科での勤務などを経て、順天堂大学医学部小児外科助教授、同大学医学部病院管理学研究室教授を歴任。現在は、順天堂大学 健康総合科学先端研究機構 特任教授。研究分野は、病院管理学、総合診療科学、スポーツ医学など多岐にわたる。

