【第3部】自律神経の診療と、これからの医学
自律神経の診断と治療は、まだ発展途上
-日本と欧米では、自律神経に対する考え方や臨床のあり方に違いはありますか。
日本と海外で、大きな違いはないと思います。海外の文献を見ても、自律神経の診断と治療は非常に難しいとされています。
「自律神経失調症」は、誤診が多い疾患の一つとも言われています。それだけ、まだ自律神経については十分に解明されていないということだと思います。
コロナの後遺症などについても、自律神経失調症と関連付けて考えられることがあります。しかし、それも自律神経そのものがまだ発展途上にあるため、十分な診断に至らない、あるいは確立した治療法がないという側面があるのだと思います。
診療の基本は「ヒアリング」
― 一般的な診療では、自律神経の状態をどのように確認するのでしょうか。
一般的な診療では、ヒアリングが中心になると思います。
まず、ほかに隠れた病気がないかを確認し、否定しておくことが重要です。そうしないと、検査をしても異常がなく、症状があり、患者さんが強く訴えている場合、最終的にメンタルの問題として扱われてしまうことがあります。その意味でも、患者さんの話を丁寧に聞くことは重要です。
現在は、漢方という選択肢もあります。漢方によって改善している患者さんも、実際にかなりいます。
自律神経に男女差はあるのか
― 自律神経の問題は、特に40代の女性などで話題になることもありますが、男女差はあるのでしょうか。
基本的には、男女で大きな違いはないと思います。
ただ、女性の場合は更年期障害との関連もありますし、男性にも更年期障害があると言われています。そうした要素はありますが、自律神経の問題自体は男女どちらにもあると考えています。
現在、私たちが科学的、医学的に診療できているのは、まだ3割程度なのではないでしょうか。残りの7割は、十分に解明されないまま、いわば「難民」のような状態になっているのが現状かもしれません。
今後、医学がさらに進み、遺伝子や遺伝子診断など、新たな診断方法が確立されていけば、それによって救われる人も増えていくのではないでしょうか。

順天堂大学医学部附属 順天堂医院
総合診療科・病院管理学 特任教授
小林弘幸 先生
<経歴>
1987年、順天堂大学医学部卒業。1992年、順天堂大学大学院医学研究科修了、医学博士取得。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科での勤務などを経て、順天堂大学医学部小児外科助教授、同大学医学部病院管理学研究室教授を歴任。現在は、順天堂大学 健康総合科学先端研究機構 特任教授。研究分野は、病院管理学、総合診療科学、スポーツ医学など多岐にわたる。

