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【第2部】専門性を超えて支える医療―院長として考えるチームづくりと未来への挑戦

Interview

在宅医療では、一人の患者さんを支えるために、医師だけではなく、看護師、ケアマネジャー、介護職など、多くの専門職が関わります。その中で木村先生が大切にしているのは、それぞれの専門性や価値観を尊重しながら、患者さんにとって最善の医療を形にしていくことです。

専門性の違いが、新たな視点を生み出す

在宅医療では、多職種や異なる専門分野の医師との連携が欠かせません。木村先生は、自身の循環器内科医としての経験が、現在の診療にも大きく生きていると話します。

「循環器内科医として培った、生理学的な視点があります。心臓がどう動いているか、腎臓がどう機能しているか。そうした考え方は今でも診療の基盤になっています」

一方で、放射線科医は解剖学的な視点、神経内科医は神経学的な視点を持っています。

「同じ患者さんを診ていても、見えている景色は全く違うんです。それぞれの視点が重なり合うことで、一人の患者さんを立体的に捉えられる。それが病院経験者が集まる強みだと思います」

院長として最も難しいのは「価値観の統合」

院長として、多くのスタッフや医師をまとめる立場でもある木村先生。最も難しいと感じるのは、「価値観の違いをどう統合するか」だといいます。

「病院では医師が指示を出す立場ですが、在宅医療は多職種が対等な立場で意見を出し合い、患者さんにとっての答えを探していく医療です」

病院と在宅では、医療に対する考え方そのものが異なります。

「患者さんのためを思って意見を言っていることは同じでも、良い医療の定義や、医師としてのプロフェッショナリズムの考え方が違うことがあります」

それぞれの意見が正しいからこそ、どのように統合し、意思決定していくかが難しいと語ります。

「受け入れるべき意見なのか、単に価値観が違うだけなのか。その見極めが一番難しいですね」

医療以外の世界とのつながりを大切にする

診療以外の時間では、ロードバイクを楽しんだり、さまざまな業界の人たちと交流したりすることを大切にしている木村先生。

「いろいろな分野の方と交流することで、新しい視点や考え方に触れられるよう心がけています」

医療の世界だけでは得られない経験が、結果として患者さんや地域を理解することにつながっているといいます。

良い医療とは何か―三つの視点を大切に

最後に、木村先生は診療所として目指す「良い医療」について語ってくれました。

「私たちは、良い医療を三つの軸で考えています」

一つ目は、医療的なコンセンサスが取れていること。
二つ目は、地域の人たちが「良い」と思ってくれること。
そして三つ目は、自分たち自身が「良い医療だった」と胸を張れること。

「この三つのベクトルを最大化することが、私たちの目指す医療です」

理想を語ることは簡単ですが、それを実践し続けることは決して容易ではありません。

「言葉にしたことを実践し続けること。それをこの5年間積み重ねてきましたし、これからも続けていきたいと思っています」

病気を診るだけではなく、一人ひとりの人生と幸せを考え続ける。在宅医療には、そんな医療の本質が詰まっているのかもしれません。

【第1部】治療だけでなく、一人ひとりの「幸せ」を考え続ける―在宅医療だからこそできること


やまと診療所 武蔵小杉 院長 木村一貴

<経歴>
東京都出身。2007年東京医科大学卒業、2016年東京医科大学大学院卒業。 循環器専門医・高血圧専門医。
東京医科大学、戸田中央総合病院、東京医科大学茨城医療センター循環器内科での経験を得て、2019年より『やまと』に参画。2020年10月より現職。

医療法人社団やまと 医師特設サイト:https://project.yamatoclinic.org/


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